前回のポストで書いたようにイギリスのマンチェスターで開催されたCakePHPの公式イベント、CakeFestに参加してきました。今回はスピーカーとしてこれまで開発を続けて来たCakePHP版Redmine、CandyCaneについての発表を行い感じた事をまとめます。

発表までの経緯と内容

CandyCaneはRedmineをCakePHPに移植すればもっと使いやすい課題管理システムになるのではというアイデアからスタートしたオープンソースプロジェクトです。2009年の4月に行った開発合宿での成果を元に地道に開発を続け、現在は140ほどのページが動作しバグの管理ができる状態になっています。日本のCakePHPでは少しは知られているソフトウェアですが、日本のCakePHP以外のコミュニティや海外のコミュニティではあまり知られていない状態でした。
昨年のCakeFestにも応募したのですが、再挑戦した今年に公式カンファレンスでの機会を得る事ができました。

今回の発表では特に日本で人気が高いと思われるRedmineの紹介とCandyCaneの開発の経緯と実際にインストールして使用するデモという構成でした。

20110903 candycane

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自分の考えを発信する事の大切さ


(会場内のバーでの交流の様子)
拙い英語による発表でしたが、発表後にはさまざまな反応を会場にいた人やオンラインで見ていた人達から貰う事ができました。またRedmineを実際に使っている人が参加者の3割くらいに達していたことも驚きでした。(すでにTracからは離れた人が予想よりも多かった)実際にもらった反応は下記のような感じです。

来場者のイングランドのWill Wilsonさん
「Redmineからの移行はどうすればいいのか?」という質問を貰い、その後レストランで話した所「Redmineいいなと思ったけれど、PHPで運用したい」というまさにCandyCaneを開発する前に僕が思った事と同じ反応。またプロジェクト作成からメンバーの追加などのステップが分かりにくい点を改善したい等、発表で重視して説明した内容について熱く語ってくれました。

CakePHPのコア開発者の1人でもあるGraham Weldonさん
「今後の開発予定は?」という質問と10月に大阪で行われるハッカソンでは「CandyCaneのCake2移行をやるよ」「CakeDCの内部で使っているRedmineをCandyCaneに変えたい」というこれもまた熱い反応を貰いました。

オンラインで発表を見ていたマレーシアの@sumarudiさん
最初は来場者の誰かなのかと思っていましたが、オンラインで見ていたという事でした。是非使ってみたいという反応を貰いました。

貰った反応はどれも自分がこれまでに感じた内容そのものだったり、「使ってみたい」という前向きな反応で本当に嬉しく感じました。日々の生活の中で感じた事や自分の為に手を動かした内容を発表したからこそこういった反応を得る事が出来たのだと思います。また特に反応をしなかった人からも「CandyCaneをやっている日本のyando」というキャラ認識を受け、コミュニケーションがしやすくなりました。ブログだったりプレゼンテーションだったり、プログラムだったり文章だったりと手段はさまざまですが自分自身が何かを発信したからこそこういった貴重な体験をする事が出来たのだと思います。日々の生活の中で継続的にアウトプットを行う事は簡単ではないですが、自分がどんな人間なのか、どんな事を考えているのかを発信する事の大切さをあらためて実感しました。
またインターネットというツールを使う事でプログラムそのものや英語のコンテンツは世界中に伝わります。今回もマレーシアやイングランドの人から反応が貰えるとは全く予想していませんでしたし、バングラディシュのFahadさんと2年越しくらいで初対面をした際にも「初めて会ったのに、そんな気がしない」なんて話していました。インターネットはやはりすごい。

恩返しの大切さ

http://www.youtube.com/watch?v=vdTvlHA7YWY

(CakeFestのパーティの様子)
読み手やオープンソースの利用者として見た場合、自分が見たものや使ったものへ反響を返すという事も大きな意味があると思います。facebookが広まった事でついつい「イイネ」をクリックしたりリツイートする事で賛同の意思を伝える事が増えてきました。たしかにそういった反響もうれしいですが、それ以上に文章や直接の言葉で貰う反応はうれしいものです。そういった反響をくれた人の事は強く記憶に残りますし、がんばってアウトプットを続けようという大きなモチベーションになります。またオープンソースソフトウェアであれば実際にバグを修正したり、ドキュメントや記事を書くなどの方法もあります。
CakePHPも海兵隊から除隊された後にOSCommerceのカスタマイズなどをしていたphpnutがポーランド人のマイケルの作った"Cake"に対してすごくいいねと反応を返し、面倒なプロジェクト運営やサーバー管理は全部、俺がやるから一緒にやろうと誘ったのがきっかけだったそうです。自分が良いなと思ったものに対してポジティブなフィードバックをしたり、ちょっとした協力をする事で何か大きな事が生まれていくと思うと、そういった日々の恩返しも大切だと感じました。

自分自身から発信する事の大切さ、恩返しの大切さはオープンソースを知っている者としてはけして目新しい事ではなく、元々分かっていた事でした。不思議ですがその知っていた事をとても新鮮かつ染み入るよ���に実感する事が出来ました。今後も開発をがんばろうというやる気が湧きましたし、日頃目にしているサービスや記事、ソフトウェアに対してきちんと恩返しをしていこうと思います。

長文になりましたが、読んで頂いてありがとうございました。